新刊本「Beautiful Life」は、こうして生まれたのです

2015年8月12日のブログから転載

2年半かけて書いた本がついに昨日、発売になりました!
丹精こめて書いた文章が本という形になり、世界へ出て行くときの喜びは言葉では言い表せません。

やったー!という達成感と、何ともいえない幸福感。
そして、この本が生まれるきっかけとなった出会いへと、思いを馳せ・・・

もともと、この本が生まれるきっかけとなったのは、テレビ朝日の「こんなところに日本人」の撮影でした。

撮影チームが、パタゴニアの我が家にやって来たのは、2012年7月。

ある朝、「こんにちは~!」という声にドアを開けると、そこには、俳優の田中要次さんがニコニコ笑顔で立っていたのでした。

「あら~!!」と心底、びっくり。ディレクターさんから連絡を受けてはいたものの、「インタビューは僕がやります」とおっしゃっていたので、まさか、俳優さんがいらっしゃるとは思ってもいなかったのです。

要次さんは、とてもソフトで繊細な方。まるで、前から知っていた友人のように、話が弾みました。

サンチャゴからラフンタまで、飛行機とバスを乗り継ぎ、最後は、ヒッチハイクでラフンタを目指して来られたとのこと。

真冬だったので、寒い中、2時間、道端に立って、ヒッチハイクをしたのだそうです。

スケジュールの関係で、我が家には1日しか滞在することができず、撮影のスケジュールはかなりタイト。撮影は、夜の12時まで続き、終了したときには、私たちはもちろん、クルーの皆さんも、要次さんも、へとへとでした。でも、要次さんは、笑顔を絶やさず、「いや~、ラフンタ、いいところですね~。今度はゆっくり来ます」とおっしゃって、帰って行きました。

yoji paul konomi web

番組は、その後、10月に、テレビ朝日で放送されました。
そして、その番組が放映された翌日、ある編集者の方からメッセージが届きました。

「昨夜の放送を会社で社長と見ていたんですが、社長が『この人に本を書いてもらえないだろうか?』と言うので、ご連絡を差し上げています。僕のアイディアでは、ソローの『森の生活』の現代版のような本を作ることを考えています。菊池さんとポールさんのパタゴニアでの美しい生活とそこで得られた学びと気づきを書いていただけないでしょうか?」と。

「もちろんです!」私は、二つ返事でお受けしました。

翌日、すぐに企画書が届きました。企画書には、「1 ポールとの出会い」「2 パタゴニアという場所と、住んでいる理由」など、12項目にわたって、章立ての構成案が書いてありました。私たちはその構成案がとても気に入り、構成案にしたがって、私は本を書き始めました。書き始めると楽しくて、どんどん筆が進んで行きました。「幸福とは何か」「パタゴニアの生活で得られた学びと気づき」などの章には、ポールのアイディアもたくさん入れていきました。

それから半年かけて、私は、楽しみながら本を書いて行きました。原稿が完成した時、編集者さんに送るのは、もう一つの楽しみです。どのような感想を聞かせてもらえるのか、「ここは、こうしましょう。もっと、わかりやすくなりますよ」とか、「もう少し、ここのところ、詳しい描写を入れてもらえますか?」など、文章にどのように磨きをかけてもらえるのか、わくわくするのです。
「どんな本になるんだろう?」
わくわくしながら、本に掲載する写真も選んで、送りました。

ところが、最終章の原稿を送ってから、一ヶ月たっても、編集者さんからは連絡がありませんでした。
「おかしいなあ?」と思って、何度かメールを送りました。
すると、数週間後、こんなメッセージが返って来ました。
「申し訳ありません、会社の経営状況が悪化して、最初にお約束した通りに本を出版できなくなったのです。」
ショックでした。

よくよくメッセージを読んでみると、全く、本を出版できなくなったわけではなく、最初に話していた条件よりもっと低い条件で合意すれば、出版できるとのこと。でも、その条件に私が同意しないかぎり、編集作業は進めることができないと・・・
「!!!!」ショックでした。

そして、私は、迷いました。「条件が低くなってもいいから、出版してもらおうか?」
でも、「あまり売れないかもしれないけど、出版してあげます」と言われているような気がしている状態のまま、本を出しても、エネルギーが下がって、うまくいかないんじゃないだろか?

結局、私は、ポールと相談して、原稿を引き上げることにし、そのことを説明しました。
もちろん、それは編集者さんのせいではありません。会社の経営方針で社長さんから直々に言われて、間に入った編集者さんは困ったことでしょう。
でも、編集者さんは快く理解してくださり、その出版社から本が出ることはありませんでした。

私は意気消沈し、すっかり意欲を失ってしまいました。
半年以上かけて書いた原稿は、本という形になることなく、私たちが伝えたかったメッセージも、誰に届くこともなく、消えていってしまうのでしょうか?
そんなとき、ポールが言いました。
「Eブックを作ろう!Eブックなら制限なく、作って出版することができる!出版社に頼らなくてもいいからね!」

どんな時でも、必ず、開くドアがあるというのが、ポールの哲学。
ぴしゃりと閉まってしまったドアがあったら、また、次のドアを叩けばいい。叩き続ければ、必ず、開くドアがあると。

そこで、私たちはEブックを作る可能性を探り始めました。
すると、「フリップブッ」クといって、実際の本のようにページがめくれるEブックを作るソフトがあることがわかりました。
でも、プロ用のソフトとなると、かなり値段が高くなってしまいます。
「そうだ!ダンに相談しよう!」また、ポールがひらめきました。
ダンというのは、サンチャゴで「I LOVE CHILE」というニュースサイトを運営している私たちの友人です。
ポールは、そのサイトに、もう何年も、記事を書いています。
「I LOVE CHILE」では、毎月、Eブックで雑誌を出版していました。

「ダン、木乃実が書いた本をEブックで出版したいんだけど、ヘルプしてくれないかな?」
「OK!フリップブックを使うといいよ。あれが一番、プロフェッショナルで、いろんなことができるから」
ダンは、快く引き受けてくれ、忙しい時間を割いて、本のデモ版を作ってくれました。
そして、その後、私たちが自宅で編集できるようにと、彼の会社で持っているソフトをオンラインで利用できるようにしてくれました。

こうして、私たちは、文章を編集し、写真を選定し、挿入し、美しい本ができあがるようにと細部まで心を配って本を作りました。

時間はかかりましたが、私たちの愛情がたっぷり入った、とても美しい本になったと思います。
時間をかけて、熟成したという感じです。

どんなときにも、最高のタイミングで、最高の形で、夢は実現するのだと思います。
あの時、「出版社さんに出してもらわないと、私の本は形にならない」と思っていたら、その後の可能性はすべて閉ざされてしまったでしょうし、自分が無力で、何もできないという思いにとらわれ続けたかもしれません。

何かが思い通りに行かなかった時、打ちのめされて、無力感を感じることはよくあります。
自分には、価値がない。能力がない、と思ってしまうような出来事は、日々、起こります。
でも、それは、本当にそうでしょうか?

私たちは、誰にでも生まれたときから価値があり、能力があります。
私たちが、持って生まれた本来の美しさがあります。

社会は、人の価値や能力をいろいろなモノサシで測るシステムになっていて、必ずしも、そのモノサシがあなたの身の丈にあっているとは限らないのです。
あるいは、あなたの価値や能力は、社会のモノサシで測りきれないくらい、大きいものかもしれません!!

だから、打ちのめされて、無力に感じたり、価値がない、能力がないと思って、うずくまることはないのです。立ち上がって、元気を出して、「叩き続ければ、必ずドアは開く!」と信じ、行動し続けれは、必ず、ドアは開くのです。

出版社さんが、「低い条件でしか、本は出せません」と言ってくれたおかげで、私は、自分の可能性を信じることができるようになりました。
そして、この世界には、無限の可能性があることにも気づきました。

だから、出会ったすべての人に感謝なのです。起こったすべての出来事に感謝なのです。

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