Simple Life Diary #1 東京でOLをしていた私が選んだのは、洗濯に2時間かける生活だった

一か月ほど前、洗濯をしていたら、突然、アイディアが浮かんできた。

毎日、ノートに手書きで日記を書いているのだから、それをブログで公開したらいいんじゃないかというアイディア。365日、書いたら一冊の本にする。タイトルは、「シンプル・ライフ・ダイアリー」そして、これをバイリンガルで書く。

南米チリのパタゴニア地方で暮らす私たちの日常のストーリーが、シンプルに生きたいと思っている人たちの手助けになるかもしれないし、忙しく都会で生きている人には、リラックスできる空間を提供できるかもしれない。

例えば、仕事帰りに地下鉄の中で、この日記を読んでいる間だけでも、パタゴニアでゆっくり流れる時間を感じてもらえるかもしれないし、写真を眺めるだけで、深呼吸してもらえるかもしれない。

私が東京でOLをしていた頃、日本の地方やフランスのプロヴァンスでカントリーライフを送っている人たちのエッセイを読んだり、写真集を見たりして、少しだけ現実から離れて、深呼吸していたように、今度は私が、そういうチャンスを提供できるかもしれない。

パタゴニアの大自然の中にある小さな家で毎日、起こること、心に湧いてくることを、起こるがままに、記録していこうと思う。

早速、このアイディアを夫のポールに話したら、「それ、いいね!」と大賛成。そんなわけで「シンプル・ライフ・ダイアリー」を、今日から、始めます。

では、早速、第1回目の日記から。

JUNESNOWMELIMOYO WEB

7月11日(火)

今日は曇りなので、写真撮影は、なし。

先週と今週、ポールは、ラフンタ村の商工会議所から頼まれて、晴れた日に、ホステルやレストランなどの写真を撮りに行っている。この間は、そのお礼にと、ワイン一本、地ビール、自家製ラズベリージャムなどをもらってきた。写真を撮影する場所は、20か所あって、全部終わったら、報酬として、商工会の会長さんがやっているレストランで、夕食2人分とワインをいただける。こういう報酬は、とても、嬉しい。

今日は、写真撮影がないので、ポールは、先日の大雪の重さで屋根が壊れた薪小屋から、キッチンスペースに薪を移動していた。ポールは、薪を満載した一輪車を押して坂道を上がる作業を、ここ2週間ぐらい続けている。

「いい運動になる!」と笑顔で薪を運ぶポール。いつも、本当にポジティブだ。

Paul Firewood web

久しぶりに、雨が止んでいるので、私は、たまっている洗濯をすることにした。

洗濯は、手洗いなので、いろいろと物思いにふける時間がたっぷりある。

シャツとTシャツ9枚、靴下8足、ズボン2本。

洗濯機があったら、40分ぐらいで終わってしまうのだろうけれど、手洗いだと、2時間かかる。薪ストーブで沸かしたお湯を外に置いてあるタライに入れ、洋服を浸して、石鹸でもみ洗いする。石鹸は、村のお店で買える、畑に流しても害のない、赤ちゃん用の無添加石鹸を使っている。

「洗濯機を買ってあげようか?」と、ポールが言ってくれたけど、一人静かに洗濯する時間が好きなので、機械に任せてしまうのは、つまらないなと思ったりする。野外で洗うので、寒かったり、雨が続いたりすると億劫になって、ついつい先延ばしにしてしまうけれど、洗濯自体は大変ではない。当初は、両手で絞るのに力がいって大変だったけれど、今は、雨水を汲んで、タライの中ですすぎ、そのままフェンスに干してしまう。どのみち、雨が降って濡れてしまうので、絞らなくてもいいということに気づいたのだ。

ラフンタで暮らし始めた頃は、雨が降っているのに、どこの家でも、外に洗濯物を干しているので、驚いた。当時、住んでいた家の大家さんの奥さんに聞くと、「風が吹いて乾かしてくれるから、大丈夫」とあっさり、言われた。

パタゴニアでは、天気が変わりやすく、雨が止んで太陽が出たと思ったら、5分後には、土砂降り、その10分後には、太陽が出て、また、土砂降りという具合なので、雨が降るたびに、洗濯物を取り込み、太陽が出るたびに、外に干していたら、一日中、出たり入ったりを繰り返さなくてはならない。だから、みんな、雨が降っても、干しっぱなし。大家さんの奥さんが言った通り、風が吹いて乾かしてくれるし、急いでいる時には、洗濯物から雫が落ちなくなった段階で、家の中に入れて、二階に干せば、薪ストーブの熱で、洗濯物は、二日で乾いてしまう。

うちの場合、電気は、ソーラーパネルで発電しているので、洗濯機を動かすには、今よりもっと大きなシステムが必要だし、それには、さらに投資しなければならない。洗濯をするためだけに、それだけの投資をするかと自問自答したら、答えは、あっさり、「No」なのだった。

そう考えると、洗濯機で、あっという間に洗って、乾燥機を使って、あっという間に乾かしてしまうという、多分、都会では当たり前のことが、異次元のことのように感じる。

「もっと、もっと!早く、効率的に!時間がもったいないから、節約して!」と、超特急列車に乗っていたような東京での生活から離れて、洗濯にゆっくり2時間もかける生活をしてしまうと、機械に任せて、時間を節約したつもりが、実は、時間を盗まれていたのではないかと思ってしまうのだった。

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